スマート・アグリは、「農業」×「先端技術」であり、ロボット、ドローン、AI、IoT等の先端技術を活用、自動化、超省力化する農業であるが、ネックは、導入コストが高いことである。
現在、日本では、ロボット(無人)トラクターも実用化され、農業はスマホで操作する時代である。搬入したい。
さて、キルギスの概容を伝えたので今回のスマート・アグリの核となる小麦に焦点を絞ろう。
この小麦についても、飽食に慣れた日本人には小麦が種々に分類されることにも関心は薄いようだ。
(小麦は元々は中央アジアの高原地帯が原産であった)
地球は丸い、緯度を辿って欲しい。北海道の十勝地方、アメリカのグレート・プレーンズ、キルギスと(硬質)小麦の穀倉地帯は同緯度に位置している。
日本における小麦粉の分類は、タンパク質量によって分類されるのが一般的で、タンパク質量の多い順に「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」に分けられる。
タンパク質量(%) | グルテンの質 | 粒子の大きさ | 主な用途 | |
強力粉 | 約11.5~13.5 | 強靭 | 粗い | パン、麩など |
準強力粉 | 約10.5~11.5 | やや強い | やや粗い | フランスパン、麺(ラーメン)など |
中力粉 | 約8.5~10.5 | 軟 | 細かい | 麺(乾麺・うどん)など |
薄力粉 | 約7.0~8.5 | 軟弱 | 極細かい | 菓子全般、天ぷらなど |
このように、小麦は、蛋白質質(グルテン)の含有量により、パン・中華麺用の硬質小麦(強力粉)、うどんは中間質小麦(中力粉)、天ぷら粉・ケーキ類は軟質小麦(軟力粉)の3大用途に大別(日本方式)される。
当NPO法人が対象とする食糧の小麦は、パン・中華麺用は上記の硬質小麦(強力粉)である。
なお、欧州の各国は、グルテンの含有量ではなく、ミネラル基準(灰分量)で分類している。
近年、若者による食の欧米化は、お米・うどんからパン・中華麺への食の変化が時代の趨勢である。
この硬質小麦は、日本の自給率は僅か“1%”というデータさえあるが、少雨・亜寒帯の北海道地域でのみしか栽培できないからである。梅雨のある本土では栽培に適さない。
驚くことに、日本は、世界第1位の農産物の純輸入国だ。輸入が制限されれば忽ちにして飢餓状態に陥る。
宿縁であろうか、地理学上、キルギス国の首都ビシュケク、イシク・クル湖は札幌、十勝地方と同緯度に位置し、同じ気象条件なのだ。
硬質小麦は冷涼で降水が少ない、乾いた土地を好むからである。
以上が、当NPO法人がキルギスへ進出する主因の一つであるが、両国の自給率を少しでも高めたい。
なお、私、日清食品の安藤宏基CEOとはクラスメートで、慶応大卒業後は私はIBM、安藤はコロンビア大MBAへと進んだ。共に三田ではMktgを専攻した。
今でも毎年1回クラス会を開いており、安藤はラーメンの新製品を大袋に入れ出席者全員に配っている、もう半世紀も続いている(私が永久幹事)。私がラーメンの素である小麦に蘊蓄がある一因である。